国連によると、世界の温室効果ガスの約40%はビル(建物)に関連して排出され、また約30%はビル(建物)における日常の関連活動からの排出によるものです。入居者の行動は建物全体のエネルギー消費に大きな影響を与えます。しかしながら、国内不動産におけるESGの導入の需要は急速に関心が高まっているものの、実際は、建物・ビル自体の消費エネルギーなどを不動産オーナー主体で改善するハードESG面での取り組みが主流です。
一方、海外における先進的な実践研究では、建物のエネルギー削減の大部分は建物の設計や設備ではなく、入居者や利用者の日々の活動による影響に依ることが大きいことが示唆されており、テナントの行動は建物全体のエネルギー消費に大きなインパクトを与えます。
また、人々の行動・意識・コミュニティなどのソフトESG意識の高い不動産は、収益面においてもより高い価値を実現していることが示されているにも関らず、国内不動産市場ではテナントをはじめとする各ステークホルダーの連携を基軸とするソフトESGの導入は、ノウハウやデータの不足から未だ手の付けられていない分野です。