内閣府の発表によると、2025年には65歳以上の5人に1人、約20%が認知症になると見込まれています。誰もが認知症患者、または認知症患者を支える存在になり得る今、認知症への理解を深め、上手に関わっていくヒントを考えましょう。
他人事ではない認知症
家族や身近な人がなったら
認知症は非常に身近な病気です。もしも、家族や身近な人が認知症になった時は、できるだけ安心感を与えるように接すること、また「その人」として尊重し、自分でできることは時間がかかっても見守るという姿勢が大切です。しかし、もの忘れや今まで出来たことが出来なくなるなどといった症状に、サポートの難しさ、精神的負担を感じることがあるでしょう。当事者だけでなく、自分自身の健康も守るために、サポートの負担を上手に軽減していくことが大切です。
サポートにおける負担を軽減するには
- 自分が大切にしている趣味などの介護以外の時間を持つ
- 情報を得られるネットワークを広げる
- 当事者が今できることを知りそれを大切にする
- 信頼できる機関、人、団体にいつでも気軽に相談する
- 介護保険などサービスを積極的に利用する
地域コミュニティの一人としての協力
認知症患者の行動・心理症状の一つに、徘徊があげられます。身近に認知症の方がいなくても、地域コミュニティの一員として認知症への知識を深め、徘徊中の事故や行方不明を防ぐサポートをしていくことは、当事者の命を守る非常に重要な行動です。
徘徊に気づくためのサイン
- 雨の中、傘もささずに歩いている
- はだしやスリッパ、左右が合わない靴を履いている
- 気候に合わない服を着ている
- 深夜、明け方など散歩と思えない時間に歩いている
- 交差点で首をかしげているなど道に迷った様子がみられる
- 同じところを行ったり来たりしている など
徘徊している人を見つけたら
- 驚かせたり警戒心を与えないよう正面から優しく声をかけ、行動の目的や本人の思いをよく聞き気持ちに共感する
- 名前や住所が伝えられない場合は洋服や靴などに連絡先がないか確認し、家族や警察署への連絡、安全を確保する
認知症の理解に向けて
認知症の症状は「中核症状」と「行動・心理症状」の二つに分けられます。中核症状とは、脳の神経細胞が死んでいくことによって直接発生する症状で、記憶障害や見当識障害、理解・判断力の障害などがあります。一方、行動・心理症状とは、本人がもともと持っている性格や環境、人間関係など様々な要因がからみ合って起こる不安や焦燥、幻覚やうつ状態、またその結果引き起こされる徘徊といったものを指します。
認知症の予防
認知症は誰でもなり得る病気ですが、アルツハイマー型認知症や脳血管性認知症は、生活習慣病との関連が強いとされています。野菜・果物・魚介類の豊富な食事を心掛けることや、定期的な運動習慣を身に付けストレスを減らすこと、思考が盛んな生活を送ることで認知症の予防につながるとされています。
当事者として、家族として、また地域コミュニティの一員として、正しい理解を深めることで、認知症と上手に付き合い、サポートし合えるコミュニティを実現させましょう。