Wealth-X 記事 日本語版(by GOYOH)

*当記事は2019年5月3日 のWealth-X の記事、『Wealthy Art Collectors: Three Strategies to Engage HNW Clients 』をGOYOHが日本語へ翻訳・編集したものです。

 

富裕層アートコレクターの購入傾向は刻々と進化し続け、それに見合ったビジネス戦略の強化が求められています。 テクノロジーの劇的な変化とミレニアル世代の富裕層コレクターの台頭は、アート業界に勢いを与え、大きな影響をもたらす2大ファクターとなっています。 ギャラリーやオークション会社はこの流れに追随すべく、興味や関心事、購買予算に関する情報から富裕層アートコレクターへを発掘し、理解を深める手段として、富裕層インテリジェンス・サービスを利用するようになってきました。

美術品の評価、創作意欲のサポート、長期的な投資の確保はアート収集の基本となっていますが、昨今のデジタル時代においては、富裕層やウルトラ富裕層のアートコレクターで構成されるエリートコミュニティーに堂々と加わることもまた大変重要であり、コレクターの活動は世界的に著しく増加しています。 アートバーゼルとUBSグローバルアートマーケットレポートによれば、2018年の世界総売上は、前年比6%増の674億ドルで、このうち、米国は44%増、英国は21%増、それに続いて中国は19%増となっています。

今日の富裕層アートコレクターは、独占的な機会や夢中になれる体験を求めています。若いアートコレクターは、ソーシャルプラットフォーム上で注目を集めるような現代アートの発掘を働きかけていることから、今ではイベントよりもソーシャルメディアが夢中になれる機会を提供するようになっています。

魅力的な体験を提供し、eコマース、ソーシャルメディア、デジタルマーケティングを活用して、今日の富裕層やウルトラ富裕層の興味や関心事を捉え、彼らへの取組むべき課題を把握することは大変重要です。

 

耽美で情緒的な体験をプロデュース

 

香港、バーゼル、マイアミのアートバーゼルから、ロサンゼルスで初めて開催されるフリーズといった、世界的セレブリティなアートフェアにおいて「体験」が新たな必然的要素であることは間違いありません。

エクスクルーシブなディナーイベント、ポップアップショップ、映画、アートパフォーマンスといったものは、アートフェアの参加者に与えられた夢中になれる体験です。富裕層アートコレクターやウルトラ富裕層アートコレクターは、プライベートダイニング、パネルディスカッション、主要アーティストとのOne on Oneセッション、興味や趣味が近い人同士での食事会など、VIPのゲストのみに用意された試写会やプログラムに出席しています。

戦略的で協同組合的な取組みを活用したり、団塊世代からミレニアル世代の富裕層アートコレクターと関わり合いのある厳選された高級ブランドパートナーを宣伝する上で、このような体験は特別な商機を創出しています。ハイスペックな自動車、化粧品ブランド、ラグジュアリーホテルグループなどの高級ブランド企業は、多くの場合、このような仲間内全体で共感し合って、クロスマーケティングの機会を享受しています。

 

データやEコマースへの投資

 

サザビーズ・インスティテュート・ニューヨークの教授であり、フィナンシャルタイムズ中国のコラムニストでもあるケイジャ・ウー(Kejia Wu)氏は、クリスティーズやサザビーズなどの主要企業は、データ収集と分析に大規模な投資を行い、合理化されたEコマースインターフェースの構築に注力してると話しています。

ギャラリーやオークション会社にとって、高速で安全かつシンプルな購入プロセスの提供は無くてはならないものです。 精通したコレクターは、ライブ設定だけでなくオンラインでの参加も望んでいます。キャッシュレスなアートフェアやモバイルアプリの導入など、アートフェアにテクノロジーを取り入れることも、オンラインで数百万ドルの取引に対応するのと同じくらい重要です。 Eコマースのインフラやデータベースの管理分析に投資を行い、クライアントにとってより使い勝手の良いインターフェースを提供するとともに、内部で使用するクライアントデータベースをよりクリーンにしておく事は極めて肝要です。

競争力を維持するには、変化するオーディエンスを理解しなければなりません。富裕層インテリジェンス・サービスに投資することで、ギャラリーやオークション会社は、富裕層のアートコレクターや芸術愛好家に辿り着くことことができます。 年齢、純資産、ロケーション、その他様々な測定基準で潜在的なアートコレクターを検索できる機能は、アート収集に比較的不慣れな富裕層ミレニアル世代をターゲットとする人や、これからアートコレクションを始めようとしている人々において大いに役立ちます。

 

 

ミレニアル世代層への取り組み

 

 

一流のギャラリーやオークション会社は、ミレニアル世代の若手アートバイヤーに対応した戦略を立案しています。そこには、彼らに適したマーケティング手法やコミュニケーション戦略、洗練されたオンラインによるプレゼンス、そして現代アートに焦点を当てた注意深いキュレーションが求められます。

先進的なデジタルマーケティング戦略の一環として、ギャラリーとオークション会社には、ソーシャルメディアの活用を全面に押し出したコンテンツマーケティング計画の立案が求められます。 これは前述した通り、ソーシャルメディアがブランドとコレクターと関わりを持たせ、高級ブランドに広告を提供し、ミレニアル世代が特定のアートコレクションを探す上での貴重な機会を創出するからです。

「オークション会社は、ミレニアル世代に特化した戦略の立案に驚異的な業務を行っています。 (彼らも目にしているのですが)ミレニアル世代の専門バイヤーグループが(カウズのような現代アーティスト作品)を購入しています。 グラフィティアートをバックグラウンドとするコンテンポラリーアーティストのカウズの作品は成熟したオーディエンスには受けにくいものの、コンテンポラリーアートに関心のある多くのミレニアル世代を引き付けている」とウー氏は説明しています。 彼の作品の1つは、ビートルズのサージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンドのアルバムカバーにザ・シンプソンズのパロディが描かれてたもので、最近のアートオークションで1470万ドルで売却されました。 サザビーズ香港は100万ドルでこの作品を掲載しましたが、ミレニアル世代のコレクターが興味を示し、この作品は多くの往年の著名作品よりも高い値段で売却されています。

この一件は、富裕層のミレニアル世代の購買傾向や購買力に関する貴重な洞察を私たちに与え、業界がこの人口層を戦略の中心に据える動機付けをもたらしました。 「主要なオークション会社は、若い世代のコレクターを引き付け、ブランドへの忠誠心を築き、クライアント層を拡大して、ミレニアル世代をアートコレクターへと変貌させるための熱心な努力を行っている」とウー氏は話しています。

業界は急速なペースで進化しており、ギャラリーやオークション会社は、バイヤーをどの程度知っているか、そして市場の変化を予測し適応できるかどうかによって命運が決まります。 デジタルマーケティングやコミュニケーション、イベントや体験型小売販売、資産管理を活用したデータベース管理といった分野のエキスパートパートナーと協力することで、ギャラリーやオークション会社は関連性を維持するだけでなく、このダイナミックな空間での繁栄が可能となるのです。

 

*オリジナル記事(英語)はこちらからご覧頂けます

https://www.wealthx.com/intelligence-centre/exclusive-content/2019/wealthy-art-collectors-hnw-client-engagement-strategies/